概要

6月15～16日にかけて日銀政策決定会合が開催される。主要国の利上げサイクルが継続しているが、日銀は利上げに踏み切れていない。新総裁の植田総裁は市場予想よりもハト派よりで利上げに対して慎重姿勢。現状維持の場合、ドル円の上昇に弾みがつく可能性がある。

ファンダメンタル要因

• 6月日銀政策決定会合では現状維持が予想、植田総裁は予想以上にハト派姿勢
• 日銀の2％物価目標は達成、日銀総裁のコメントの変化に市場は注目
• 米政策金利は執筆時点で5.25％、6月FOMCは利上げ停止が主要予想
• 日米金利差が大きく円安ドル高基調は変化なしか
• 日経平均株価は5月に6.2％、6月は2.5％の急上昇

米経済指標とFOMC

6月上旬に発表された米雇用統計は雇用者数は市場予想を大幅に上回ったものの、賃金上昇率がわずかな上昇にとどまったことで、インフレ鈍化が示唆される結果となった。つまり、米景気は底堅いがインフレが徐々に一服しつつある。そのため、6月のFOMCでは利上げ停止の確率が高くなっており、11回連続の利上げに歯止めがかかる可能性がある。

ドル円も影響を見極めるため、138円～140円台のレンジ相場が継続している。FOMCで利上げ停止となれば、市場予想どおり。発表後のパウエルFRB議長のコメントに最も注目が集まるだろう。今後も利上げ停止なのか、利上げ再開する確率がどれぐらいなのかをマーケットは見極めることになる。7月に利上げすることに触れればドル円は上昇しやすくなり、利上げ停止が今後も継続することが示唆されれば、ドル安となってドル円は下落しやすくなる。

日銀政策決定会合

6月日銀政策決定会合では、現状の金融政策が維持されると予想されており、ドル円への影響は限定的と思われる。ただ、直近の日本消費者物価指数は前年同月比で3.4％となっており、日銀の物価目標である2％を大幅に上回る水準が続いている。

そのため、日本の利上げも時間の問題と考えられており、植田総裁の記者会見での発言内容に注目が集まりそうだ。

テクニカル分析

日足

ドル円の日足チャートを分析する。直近では140円台で推移しているが、トライアングルの上限ラインで上値を抑えられており、もみ合い相場となっている。4月～5月上旬にかけて抵抗帯として機能していた240日移動平均線を上回っており、上昇基調は継続していると判断できる。

また、通貨強弱を分析すると、相対的に米ドルは円よりも強い状態となっているため、中長期的には円安ドル高が継続するだろう。FOMCと日銀政策決定会合次第で大きく上昇する可能性が考えられる。

直近の大きな抵抗帯は140.50～140.70円である。上昇する場合、フィボナッチエクスパンションの161.8％に該当する147.30円が中長期的な上値目標となると考えられる。

ドル円／日足

週足

ドル円の週足を分析する。一目均衡表を描画すると、現在は雲の中で推移しており、もみ合い相場が継続していることが確認できる。直近2週間は調整の動きとなっているが、FOMCと日銀政策決定会合で雲を上抜ける展開も考えられる。

現在、遅行線はローソク足を上回り、転換線が基準線を上回っている。そのため、ローソク足が雲を上抜ければ「三役陽転」という強いシグナルが発生することになる。

過去の意識された価格は142.25円であり、この価格を上抜けると、昨年の為替介入水準である145円付近が次の抵抗帯の目安となる。142.25円は一目均衡表の雲の上限価格でもあるため、重要な節目となりそうだ。

ドル円／週足

日足と週足分析を総合的に考えた今後数週間の予想レンジおよび支持線・抵抗帯は以下のとおり。